天声人語で国語力をアップ

天声人語を読み直すのに、新聞の切り抜きや書き写しノートを持ち歩くのが面倒なので、ブログにアップしています。

狭き門〜女子プロゴルファーの旅生活

天声人語 2019/8/18より スポーツは旅だと、しみじみ思うことがある。2週間前にゴルフの全英女子オープンで優勝した渋野日向子選手は、息つく間もなく先週は北海道、この週は長野・軽井沢でグリーンと格闘している▼国内の女子ツアーは季節を追って列島を縦…

文学に触れるということ

天声人語 2019/8/17より 文芸誌の「すばる」と「文学界」が、立て続けに国語教育の特集をしている。高校の国語でこれから、文学が選択科目になるためだ。若い人が文学に触れる機会が失われていくのでは、との懸念が伝わってくる▼現代国語といえば小説や詩歌…

日韓の風通し

天声人語 2019/8/16より この夏、小さな扇風機を手にする人をまちで見かけるように なった。最近のヒット商品だそ うで、ミニ扇風機とも携帯扇風機とも呼ばれる。同じものが韓国では一足早く流行していたという。厳しくなるばかりの暑さはお互いさまのようだ…

敵対心は戦争の燃料~支那事変(日中戦争)

天声人語 2019/8/15より 1937年の夏、盧溝橋で日中が軍事衝突したとのニュースは、瞬く間に日本国内に広がった。日常風景の変化を切り取った短歌がある。〈事変おこりて客足たえし支那人床屋ニユウスの時をラヂオかけ居り〉日比野道男▼中国人の床屋はま…

土用波による遭難

天声人語 2019/8/14より 「土用」が頭につく言葉は少なくない。食べ物だとまずウナギが思い浮かぶが、「土用卵」「土用蜆」などもある。暑さにまいる夏の時期、栄養のあるものを口にして、体力をつけようという発想である▼天候についての言葉もある。「土用…

空蝉(うつせみ)から感じること

天声人語 2019/8/12より 何にでも値がつくのが市場経済であるならば、とくに驚くことではないかもしれない。フリーマーケットアプリのメルカリで、セミの抜け殻が出品されていた。90体で1100円などの品は、自由研究にでも使われるのだろうか▼抜け殻と…

キーマンに逃げ切られた森友問題

天声人語 2019/8/11より 苦しい言い訳でも、文豪の手にかかると美しさを帯びるから不思議である。原稿の催促を受け流した泉鏡花の手紙。「涼風たたば十四五回もさきを進めて其のうちに一日も早く御おおせのをと存じいろいろ都合あい試み候えども・・・」▼涼…

風をつかまえた少年

天声人語 2019/8/10より 公開中の映画「風をつかまえた少年」の舞台はアフリカの新興国マラウイ。内戦のない穏やかな国ではあるが、社会インフラは整備の途上にある。映画は電気のない村に風力発電塔を建てた少年の実話をたどる▼来日した当人ウィリアム・カ…

被爆1世、2世、3世~それぞれの思い

天声人語 2019/8/9より 長崎市に住む被爆2世、高森ひとみさん(58)はこの6月、隣の諫早市にある小さな公園の清掃に孫2人を連れて参加した。74年前、ここに何百人もの犠牲者が運ばれ、荼毘に付された。そんな話を小3と幼稚園児にもわかるよ う伝えた…

引退するスーパーコンピューター「京」

天声人語 2019/8/8より 身長2メートル強、根っからの暑がり。同じ体形の864人で膨大な計算をこなし、不平ひとつこぼさないー。スーパーコンピューター「京」である。この夏で引退すると聞き、神戸市の理化学研究所を訪ねた▼「私たち研究者に見たことのな…

スポーツ競技会場の暑さ対策

天声人語 2019/8/7より 連日、外出をためらうほどの猛暑が続く。来年夏の五輪カレンダーを見ると、8月初旬は野球やサッカーなど人気競技で決勝が目白押しだ。選手や競技会場の暑さ対策は大丈夫だろうか▼気象情報会社ウェザーニューズ(千葉市)はいま、東京…

原爆資料館~10年かけて拾い集めたガラクタ

天声人語 2019/8/6より 小さなツルハシと大きなリュックを抱え、原爆投下からまもない広島市内を連日歩き回る男性がいた。探したのは破壊の跡をとどめる石や瓦、鉄片など。「ガラクタ拾い屋」などと奇異の目を浴びても収集の熱は冷めなかった▼のちに広島の原…

沈黙を破って語ったわけ

天声人語 2019/8/5より 元広島カープ監督の「ミスター赤ヘル」山本浩二さん(72)の長兄、宏さん(81)は、数年前まで被爆体験を人前で語ることなく暮らした。心境が変わったのは4年前のことだ▼母親の法事で東京から広島へ帰郷した際、息子と娘に初めて…

「表現の不自由展・その後」が中止

天声人語 2019/8/4より 明治の後期、黒田清輝の油彩「裸体婦人像」が画壇を騒がせた。欧州滞在中に描いた優美な作品を当局が問題視。主催者は絵の下半分を茶色の布で覆った▼わが国の美術史に語り継がれる「腰巻事件」である。与謝野鉄幹は憤概し、森鴎外は皮…

名馬ディープインパクト逝く

天声人語 2019/8/3より 競馬場に行ったこともなく、馬券を買ったことがなくても、競馬用語のいくつかはおなじみだ。選挙に転じて使われるからだ。立候補は「出馬」で、リードするのは「頭一つ抜ける」。意外に伸びそうな候補は、「ダークホース」である▼同じ…

取れるとこから取れるだけ取る

天声人語 2019/8/2より あこぎな商売をめぐるジョークである。眼鏡店の経営者が新入りの店員を教える。「眼鏡を合わせ終わったら、客が値段を聞くから『10ドル』と言うんだ。そして客の反応に注意してるんだ」。もし客がぴくりともしなかったら「・・・が…

駅名にみる大阪の味わい

天声人語 2019/8/1より 江戸は八百八町だが、大阪は八百八橋といわれるほど橋が多い。その多くを町人が架けたというのが大阪人の自慢である。行政が形づくった東京と違い、大阪は民間の手によるまち。お上、何するものぞの気風がある。▼そんな「民都」ぶりを…

テレワークの普及

天声人語 2019/7/31より いまから37年前のアンケートである。テレビ電話やファクシミリの発達で近い将来、在宅勤務が広がるとみられるが、あなたは望みますか?週休2日が確保されるのであれば望まない―。そんな答えが40%で最も多かった▼ 「仕事を家庭…

選手を守るための決断

天声人語 2019/7/30より 1961年に中日ドラゴンズに入団した権藤博さんを待っていたのは、連投につぐ連投だった。あまりの出番の多さに「権藤、権藤、雨、権藤」とまで言われた。雨天中止以外はずっと投げているように見えると▼権藤さんの著書によれば「…

どうなるイギリス? 新首相誕生

天声人語 2019/7/29より そのとき英国の首相官邸は何に悩み、どう動いたか。欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票のてんまつを、官邸スタッフが詳細に記録したのが「ブレグジット秘録」だ。ロンドン市長だったボリス・ジョンソン氏の名前が何度も出て…

像に想いを込めて「想像」

天声人語 2019/7/28より 人はなぜ、銅像をつくるのだろうか。最近訪れた台湾で、そんなことを考えた。台北から車で1時間ほどの山あいの公園。200体を超える蒋介石の銅像が、ズラリと立ちならんでいるのを見たからだ▼かつて大量につくられたカリスマ的な…

米作り

天声人語 2019/7/27より 梅雨の曇天が真夏の青空へと変わりゆくころ、米作りに励む農家は「穂肥」をまく作業に精を出す。稲の穂が茎の中で育ち始める時期に施す肥料をいう。湿度は高く、肥料は重く、全身汗まみれの重労働である▼「人に例えるなら、稲は秋の…

戦争の傷跡 被弾木

天声人語 2019/7/26より 本紙東京本社の「声」欄で昨夏、「小さな駅の被弾木」という投稿を読んだ。大戦末期、大分県内で米軍機が列車を銃撃し、乗客や駅員ら大勢が死傷する惨劇があったといっ内容で、投稿主は80代の男性。「戦争の恐ろしさを語り継がねぱな…

命の価値

天声人語 2019/7/25より 手足が動かせず、病床で歌をつくってきた元教師の歌人、有沢蛍さんに一首がある。〈やまゆりの園生の闇に振るはれし刃はわれの心をも刺す〉。神奈川県相模原市の津久井やまゆり園で起きた悲報に接して詠まれた▼あすで事件から3年。…

オリンピック聖火のトーチ

天声人語 2019/7/24より 市川崑監督の記録映画「東京オリンピツク」に印象的な場面がある。聖火トーチが富士を背にもうもうと白煙を上げ、風にたなびく。さながら蒸気機関車のようだ。近年の五輪で見る地味めの聖火とは趣が違う▼「いまは環境重視。炎が小ぶ…

国会議事堂の変遷

天声人語 2019/7/23より 車いすの議員として知られた八代英太さんが参院で初の代表質問に臨んだ際、登壇方法をめぐって院側ともめた。正面階段から上がりたいと望んだが、車いすでは危険と言われて断念。大臣席の後ろを遠回りした。40年ほど前のことだ。▼…

相撲も選挙も横綱だけはつまらない

天声人語 2019/7/22より 大相撲名古屋場所は、モンゴル出身の横綱同士の対決を鶴竜が制して幕を閉じた。白鵬ともども全身を紅潮させてぶつかった結びの一番は見応え十分、手に汗を握った▼残念だったのは大関、関脇、小結陣のふがいなさだ。とりわけ大関は4…

「験かつぎ」で世の中は変わるか?

天声人語 2019/7/21より 好調が続く間は、ヒゲをそらない。左右の靴を履く順も、同じ。歩いて競技場に向かう道順も変えない。スポーツの世界ではそんな「験かつぎ」をよく▼「ゴルフのタイガー・ウッズは勝負の日に赤色の服を着ることで有名。勝敗との因果関…

三度目の正直?今村夏子さんの芥川賞

天声人語 2019/7/20より 今村夏子さんが小説を書こうと思ったのは、仕事の予定がぽっかり空いたからだ。バイト先で「明日は休んでいいです」と言われた帰り道に、すごく寂しくなった。「このままじゃダメだ、なにかしよう」と思ったと、あるインタビューで語…

愛されていたアニメスタジオ

天声人語 2019/7/19より 1週間に1本、テレビのアニメ番組をつくる。そんな前代末聞の仕事に、手塚治虫が挑んだのが1960年代のことだった。大変な手間と経費が予想され「バカな計画をしたものだ」と、周囲から言われたという▼その作品「鉄腕アトム」は…